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ブログ 2017/07/28 09:50

本当にあったちょっとした奇跡

認知症。

それはいまだに解明されていない謎の多い病気とされています。

ですが、介護施設で認知症の方と接していると、時折、人間の偉大さというか、人間の持つ力のすごさというか、

そういったものを感じさせられることがあります。

今回は、私が実際に体験した、ちょっとした奇跡についてお話したいと思います。

 

 

S様という100歳に近い女性のご利用者様がいらっしゃいました。

S様は認知症の方です。

私は自分の名前を覚えて頂きたくて、親しみをこめて、「私のことは『○○ちゃん』と呼んでくださいね!」と自己紹介していました。

S様はその度に、にっこりと微笑んで頷いてくださいました。

ですが、S様が私の名前を呼んでくださることは一度もありませんでした。

S様は、お話をされることはあるのですが、誰かの名前を呼ぶ、ということはほとんど無い方なのです。

 

時が経ち、S様はほとんど言葉を発しなくなってしまわれました。

お身体も弱り、ご自身でベッドから身体を起こすこともできなくなっておられました。

 

ある日、私が夜勤を担当していた時のことです。

巡回でS様の居室のご様子をうかがうと、

S様がご自身で身体を起こして、足を下ろし、ベッドに座っている状態になっておられたのです。

ベッドからの転落の危険もありましたから、私は「Sさん!」と言って近寄りました。

すると、S様が私を見て、

「あら。○○ちゃん」

と仰ったのです。

私はびっくりして、「いま私の名前を呼んでくれたんですか?」と訊きました。

S様はにっこりと頷いてくださいました。

一瞬、私は時間が止まったかのような感覚に襲われました。

カーテン越しに入ってくる街灯のほのかな明かりがS様を綺麗に照らしていました。

 

 

介護課 草薙

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